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能書三昧

虎徹

 ご覧になった方もいるでしょうが、先日、なんでも鑑定団であの虎徹が登場しました。
  近藤勇が探していた頃から贋物が多いことで有名だったシロモノですから、ほんとに本物? と思って見ていましたら、なんと!本物。しかも大小揃い。話に聞くとおり、刀身の反りは浅く、 鋼の肉は厚く、まさに実践向き。銘の部分には、切れ味?を示す二ツ胴とあり、つまり試し切りで 人間二人の胴をスッパリ斬ったということ。すごいですねぇ。これがあの虎徹か、とまじまじと 画面を見ておりました。持っていらしたのは警察関係のお偉いさんで、父親が昔知り合いから入手したもので、 ご本人が剣道をするので(警察の人ですからね)、心得もあろうと親が譲ったということでした。 確かに、真剣なんてものは、誰の手にでも委ねるものではないと思います。この方、あの浅間山荘事件の時、 あの佐々さんの下で活躍した方だそうで、ちゃんとこういう人のところへ行く運命なんですね。

 画面で見る分にはあまりにきれいなので、この刀、出来てから後人を切ったんだろうか? なんてぽそっとつぶやいたら、「二ツ胴と打ってあるからには少なくとも試し切りはしているということだ」 とダンナに言われて、ああそうだと。つまり何百年か前に人の血を吸ってはいるのね。うは、恐ろしい。 その後は誰の手に渡って何人人を斬ったのか斬らなかったのか知らないけれど、ああいうものは 手にしてみると魅入られてしまうものらしいから、理性のある人以外は持っちゃいけないですよね。

 近藤勇が持っていたとされる虎徹は空襲か何かで焼失したそうです。だいたい今現在虎徹なんて いくつ残っているんだか。ちなみに大小揃いで3,000万円の鑑定結果。お値段の方もまたタダモノではない。

 テレビ画面とはいえ、いいもの見せていただきました。

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