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能書三昧

高橋克彦の江戸

 最近では読書のキーワードは陰陽師か新撰組。 なんて偏食。おかげで時代物ばっかり。

 「鬼」という連載短編集で高橋克彦をはじめて読んでから、高橋づいている。
  文章も簡潔で、テンポもよく、 面白い。もっと鬼の話を読みたかったのだが図書館で見当たらなかったので、代わりに借りたのが「京伝怪異帖」。 高橋づいた直接の要因はこの本である。背景の江戸描写がいい。ちゃきちゃきの江戸弁がいい。絵、芝居、 戯作の世界がいい。とても面白かった。
  というわけでその後は「完四郎広目手控」のシリーズを読んだ。広目屋というのは今で言うイベント請負い 広告代理店のようなもので、集客のための面白い企画を売り込む商売。第一作では企画と瓦版だが、第二作では 報道に目覚めて、今の新聞社に相当する仕事をする。ちょうど幕末〜明治の辺りで、短編連作型になっており、 中の一編に何と歳さんが出てくる!行商の途中で立ち寄った顔見知りの薬売り!!最初びっくりして、 読みながらニヤニヤしてしまった。他の一編では京都までの道案内が坂本龍馬だってんだから、豪勢じゃないの。

 何の予備知識もなくパッと選んだ本でこんな出会いがあると、その作者のほかの本も読みたくなるじゃありませんか。 まだまだいっぱいあるし。でも、江戸物か鬼・怨霊物だけでいいわ。UFOとかタイムトラベルもの (中には沖田総司が出てくるのもあるようだが……)はいまのところ食指が動かない。まぁ、こんなにたくさん 作品がある作家を今まで読んでなかった私の読書の守備範囲は非常に狭いというわけだ。

 まずは完四郎の三作目を読まなくちゃ!その次は有名な「写楽殺人事件」のシリーズも面白いかも。

(2005.09.13)

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