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能書三昧

風光る

 俳句の季語ではありません^^; (あ、いや、季語なんだけど)
  新撰組に女の子がいたというすんごい設定の 漫画

 渡辺多恵子の「ファミリー」が大好きでずっと読んでいたが、自分が10代ではなくなってから 「はじめちゃんが一番」は読まないままだった。「風光る」が始まった頃もちらっと見た記憶はあるが、 その頃の私は時代ものには毛ほども興味がなく、なんと「無頼」を読んではじめて、「風光る」も 新撰組だったのかと知るに至った無知なヤツである。

 渡辺多恵子はすっかり少女漫画界のコメディ女王となった。(これはあくまで褒め言葉。 この人のジョークは私には結構ツボ。) 本人も言うとおり、有り得ないことがメインなだけに背景は超リアル。 少女漫画お約束のラブストーリーの背景に、よくぞこれだけ忠実に史実を織り交ぜて、しかも笑かしてくれるもんだ。

 沖田総司を描きたかったという作者だが、脇に徹する土方さんがどんどんかっこよく見えてくるのは、 私が土方歳三熱に冒されているからだろうか。
  斉藤一を主役にした岩崎陽子の作品もそうだが、やはり土方歳三は例え脇であろうと、どう描こうと、 器用なのに不器用で冷静なのに熱い男――になるのだろうか。(土方ファンからギャグをやらせるなという 抗議が殺到したそうだが、私なんて大歓迎。だってどうやったってカッコイイもんね。猫目になって怒鳴る顔も好き! カッシーとのキスシーンは目ン玉飛び出したけど。)

 正反対に違うのが斉藤一。無頼のはじめさんとのあまりの違いにのけぞるほど。 できるだけ史実に照らし合わせるとああなるのかな?(セイちゃんへの片想いはおいといて)  両方読むとこれが同じ人物を描いたものとはとても思えない。

 小説作家もそうだが、漫画家というのもほんとに凄い。新撰組という題材でまったく違う作品に なるのはひとえに本人の創造力の賜物。そしてそれぞれの魅力で読者を虜にしてしまうのだから、 あの人たちの頭の中は宇宙より広いのかも……。

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